風の果て

風の果てには何があるのだろうか。そんなことを考えたことが誰でも一度はあると思う。僕は自転車で子供のころにそれが知りたくて思い切り風を追いかけて走ったことがある。が、追いつかなかった。バイクに乗って、車に乗って、新幹線に乗って、飛行機に乗っても、追いつくことはなかった。遠い未来に誰かが開発した風より速い乗り物に乗って追い越せたとしても、風の自由さには勝てないだろう。追い越したと思ったとたんに止まったり他の方向に進路が変わったら、とうてい追い越すのは難しい。なんと馬鹿げたことを考えたのかと思う今だが、馬鹿げたことを思うからの技術や努力では考えられないようなことにつながることもある。最近はギターの理論を学ぼうとスケールやコードの基礎を見返しているが、これを先に学んでいたら出来なかった曲がたくさんあったなあと思うのだ。なんとなく楽器にふれて、思いもよらないコード進行になったというのが多くある。それを風の果てのようだな、と今とても思うのだ。