昔トムソンというメーカーの赤いムスタングを弾いていたことがある。赤いムスタングは略して「赤ムス」とも呼ばれているようだが、二光通販というところで出されていた時の広告がものすごく面白い。アフロみたいな髪型の人が部屋で恍惚とした表情で弾き語りをしているチラシなのだが、マニアックな人の間では伝説になっているチラシでもある。「赤ムス トムソン」で検索するとチラシの画像はすぐ見つかるかもしれない。「その日からイキナリ演奏できる!」とのキャッチコピーがあるチラシである。僕はこの楽器でムスタングを知り、チューニングが合わないなあと何度も苦労に苦労を重ねライブで使えるようにと努力したことがあったのだが、とある楽器のよくわかる方から「このギターの木は、つまようじとかに使われている木材に近いんじゃないかな」との一言を受け、熱意が冷めてしまったことがあった。しかし赤いムスタングは広告の魅力の影響からか、弾きたいなあと思うことがよくある。僕には音的にも謎のギターではあるのだが、チューニングについてはトレモロユニットがあるならいささかずれても仕方ないだろうとのことや、そんなに厳密にというよりも演奏のスリリングさを楽しめればいいとよく思う。「赤ムス」がいつかライブやレコーディングに登場する日が来るのだろうか。かなりダークホースな存在ではあるのだが、赤は赤でも、僕は赤ムスで還暦のライブに立ちたいと思っている。
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