ここ数日は雨だったが、今日は久しぶりの快晴だ。春のこんな天候の時に思い出す曲がある。フィッシュマンズのウェザーリポートという曲だ。この曲を聴くときに思い出す風景がある。子供のころ、近所にある空き地を第1基地とか第2基地とか、勝手に番号をつけて「基地ごっこ」をしていた。第6基地ぐらいの近くを下校するときに帰り道を歩いていると、急に大雨が降ってきた。傘を持っていたが風もあったので第6基地の茂みの中に傘をさして入った。茂みの中で傘をさしたまましゃがみこむとそこはテントに包まれるような居心地のいい場所になった。急な雨の影響で青草の臭いが大地から沸き起こり、激しい大雨の雨の音の中で昼寝をしたくなるほどの静けさを感じた。次の瞬間、雨がぴたっとやみ、ものすごい快晴となった。僕は一人だったが歓喜の声をあげて傘を折り畳み、半開きにし、自分の背よりも高い茂みに傘をまるで盾のようにしながら全速で走った。なにも考えない子供のころのひらめきのような遊びであったが、茂みを抜けると空に大きな虹があった。遠くに見える虹ではなく、目の前に虹のオーロラがあるような迫力だった。僕は見とれて傘を地面に落とし万歳と吠えた。その光景をなぜか思い出す。フィッシュマンズの「ウェザーリポート」、そしてすぐに続けて聴きたくなるのが同バンドの「WALKING IN THE RHYTHM」。春の散歩道に、いつも口づさみたくなる。ノアが見上げた虹を思いながら。
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