心意気

食べすぎはあまり健康によくないと思っている。食べなさすぎもよくないが、適度にバランスをとるのが健康に一番いいと思っている。宿に宿泊する時、宿泊と朝食のみにして、夜は近くのスーパーで地元のお惣菜を買い、軽く済ませようと思うことがよくある。とある宿に事前確認すると「備え付けの電子レンジはないがあたためはできるので、遠慮なく申し付けください」とのことだった。フロントに赤札で値引きされたおでんとパックのお米を持っていき、お願いしたところ、フロントの方が「ちょっと待ってください」と言って、他の階にあたためにいってくれた。お客さん用のレンジはないと聞いていたので従業員用の事務所とかにあるレンジで温めてくれるのかなあと思って待っていたら「どうぞ」と店員が差し出したのは、大きなおぼんに、鉄の鍋に入れたおでん、お椀に入れたお米だったのだ。宿の厨房で温めてくれたのがわかったのは、鉄の鍋が熱かったからだ。これはレンジでチンではない。思わぬ宿のご厚意に、とても豪華な部屋食となり、鍋からたちのぼる湯気に感激した。赤札おでんが料亭風になったのである。宿のおもてなしの心意気を身をもって感じたのであった。その地に行くとき、僕は必ずその宿を思い出すことだろう。