昔オーディションで落ちたことがある。1回、いや、小さいのも大きいのも数えたら何回落ちたのかわからないくらいである。自分の音楽はかっこいいと自信と確信をもって、落ちたときはさすがにへこんだこともあったが、いま振り返ると落ちてよかったと思うことも多々ある。僕の場合、最近やっと気づいたのは「選ぶ相手がいる」ことを考えず、自分の音楽に絶対の自信をもって、「選ばない方がおかしい」ぐらいの、自信過剰があったのではないかと思う。音楽ではない領域で自分が選ぶ側に立った時、そのような人を選ぶかと言えば「選ばない」ことが多い。周りとうまくやっていけるだろうかもだし、誰より自分はすごいと突き進んでくるような、そういう向上心が大事と考える方や業界もあると思うが、僕はここのところ、『相手へのリスペクト』をもって進むほうが、いろいろ吸収できる、成長できるのではないか、との視点をもつことが多くなった。オーディションで選ぶ方は全体や成果という点で責任がある。その点で「ずれ」がある場合やむをえないのではないか。今はわが心を磨くための1歩をくれたことに心から感謝している。
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