祖父は満州から引き揚げを経験している。古い日記には当時の手記が残っている。敗戦が決まってから満州にいた日本人たちにソ連軍の侵攻があり、命を落とした方、命がけで日本に帰った方、その中に祖父が家族と共に日本に帰ってくるまでどれだけ必死だったかが、日記を読んで伝わる。背景を知るため、いま満州からの引き揚げの本を読み進めている。祖父は心臓が悪かった。僕も心臓は遺伝した。しかし祖父は100歳近くまで生きた。祖父はクロコダイルダンディーのようなワイルドさがあった。本気でぶつかったこともあったが、本気で和解した時の連帯感はすごかった。いつか祖父とのエピソードを小冊子に残せないかとの思いも湧いてきて、ふと思った。いま音楽はネットで配信が多くなり、その方が便利だとの人は多くなったが、HPでの掲載と本になっているものでは感じ方が違うだろう。CDもそうではないか?と思うのだ。本やCDになってもコストの割に一部の人しか手にとらないとの声もある。が、それが果たして作る本当のゴールなのか?「やっと手にした」と思える作品を手にすることのほうに僕は感動する。人の多い美術館、誰もいない美術館、どちらが成功か。行く方は後者の方が、感動が大きいのだ。
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