かつては酒を飲んでもう1軒なんて時があったが、酒をやめてからもう1軒と思った時、夜中にやっているカフェがあるので助かっている。カウンターに座り、すこし休んでから列車に揺られたいときもある。夜にコーヒーは、とのこともあるからカフェインレスが置いてあるところならなおいい。読みかけの本の続きを読んでみたり、その日一日をともにしたボロボロになった新聞を読んだりして、すこしリセットするといった感じなのだが、「音楽」が遠くから聴こえてくることがあったりもする。知っている曲だと気が散ってしまうのだが、知らない曲、インストの静かな曲などがあると、耳に残り、帰り道で曲が浮かんでくるといったこともあったりする。地球という長屋にいるような気分になることがある。いろいろな人がいて、いろいろな表現があり、いろいろな夜がある。はてのないよる。住み慣れた街でも、ジムジャームッシュ監督の映画「ナイトオンザプラネット」のように、夏の夜がまるで知らない表情をしてる時がある。クラクション、信号の点滅、冬を待つ並木道。その一瞬の、街のど真ん中で飲む珈琲は、最高なのだ。
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