思春期の頃、渡辺美里のCDと銀色夏生の詩集だけがあるテーブルに、無地のノートを置いて詩を書いていたことを、ふとした瞬間に思い出した。今では銀色夏生の詩集は手元にないけれど、懐かしさにかられて渡辺美里のCDを購入し、数十年ぶりに聴いてみた。
岡村靖幸や小室哲哉といった才能あふれるアーティストたちの楽曲が、あの時代の強烈なエネルギーと共に蘇り、胸に響いた。
そんなある日、テニスコーツという音楽に出会った。その音楽が流れると、思春期のあのテーブルが心の中にふっと浮かんでくる。無造作に置かれた麦茶、暑い夏の日。激しい音楽を聴いて詩を書きなぐるのではなく、散歩の途中に感じたことを、ただ思い出すかのように、静かに詩を書いて、空を見上げた。そう、あのテーブルは、榴ヶ岡公園だった、と今、ここに書きながら思い出している。
今度、銀色夏生の詩集をもう一度、手に取ってみよう。
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